溺愛したい彼氏は別れても、溺愛をやめたくない。

 最低な俺のこと、菜花はどう思ってるかな。

 こんな彼氏もう会いたくない、顔も見たくないって考えてるかもしれない。

 ……でもそうなっても、自業自得だ。

 菜花のことを大切にしているのに、自分から切り離すなんて。

 他の男に、菜花を取られるかもしれない。

 不安と心配と独占欲が渦巻いて、大きくため息を吐き出す。

 牽制はこれからもしていくつもりだけど、それでも心配だ。

 菜花を好きな奴はこの学校には多すぎる。

 マドンナ的存在の菜花がフリーとなったら、放っておく輩はいないだろう。

 そう考えて、心臓が痛むのを感じる。

 馬鹿だな、俺。こうでもしないと、菜花に会いたくなってしまう。

 今も菜花と付き合っていたら、父さんの脅しも忘れて抱きしめたくなる。

 父さんには、あんまり逆らわないほうが良い。

 そう分かっているのは、父さんの持っている権力と昔からの行いだ。

 父さんは仕事が大好きすぎて、俺たち子供のことを愛してはくれない。

 最近はどうとも思ってないけど、幼い頃はそれが苦痛だった。