溺愛したい彼氏は別れても、溺愛をやめたくない。

 最初の内は菜花と別れるつもりなんて、全然なかった。

 でも会社の跡継ぎとしての勉強を重ねていると、時間が取れない。

 学校でも勉強しないと間に合わないくらいだ。

 それに最近、菜花と会えてない。

 ここ一週間も会えてないから、菜花は俺のこと嫌いになったかな。

 こんな薄情な彼氏、嫌になったかな。

《先輩、おやすみなさい。》

 菜花も最近は、これだけしかメールを送ってくれなくなった。

 ……やっぱり、嫌だよね。

 菜花と会えなくなるのは、接点がなくなるのは嫌。

 だけど……菜花を俺の私情で、縛りたくない。

 だから――別れを切り出した。

 あの時の菜花の表情が、脳裏に焼き付いて離れない。

 泣きそうで悔しそうで、縋っている表情。

 そんな顔をさせているのが自分自身だというのに、腹が立つ。

 菜花は……俺のことを想ってくれていた。

 今はもう分からない。だって……菜花に会う資格がないから。

 菜花の質問にも答えなかったし、別れようとだけ言って帰ってしまったから。