溺愛したい彼氏は別れても、溺愛をやめたくない。

 だからこれまで、俺の顔と家の資金目当てで近づいてくる奴がわんさかいた。

 そんな事にうんざりしていたら、目の前に天使が現れた。

 ……藤乃菜花という、天使が。

 菜花はハンカチを手渡してくれると、すぐにどこかへ行ってしまった。

 小動物のような可愛さがあって、俺に余分に関わってこない。

 でも最初は、菜花に惚れていると自覚がなかった。

 自覚を持ち始めたのは、菜花と関わりだしてからだ。

 一年の校内案内のペアが菜花で、その時から話し出すようになった。

 菜花は知れば知るほど、可愛くて優しい女の子。

 愛嬌があって誰にでも分け隔てなく優しくて、自分よりも他人を優先しちゃう。

 そのくせ繊細で泣き虫で、たくさん笑ってくれる。

 菜花とは話が合うし、菜花といる時だけは気を張る事もなくなった。

 ……菜花が、欲しい。

 次第に俺はこう思うようになり、すぐに告白をした。

「俺と……付き合ってください。」

 ダメ元で、玉砕する覚悟で告白した。

 だけど菜花は、俺の不安をひっくり返す返答をしてくれた。