溺愛したい彼氏は別れても、溺愛をやめたくない。

 ファンデーションを軽くしているけど、きっと誤魔化せないよね。

 ……特に、香耶ちゃんには。

 香耶ちゃんこういう事は鋭いからなぁ……あはは。

 そう考えながら、先輩とのトーク画面を開く。

 やっぱり、返信が来ない……。

 既読はついているものの、いつも律儀に返してくれる先輩の返信がない。

 短い言葉だけでも良いから、返してください……。

 こう思う事が結構重たいんだと思うけど、先輩と話したい。

 ……そろそろ、学校行かなきゃ。

 時計に目を走らせてから、私は慌ててスマホを閉じてポケットに戻した。



「おはよ~……って、どうしたの菜花!?」

「あ……やっぱり、分かる?」

 教室に入ったと同時に香耶ちゃんが私の元に駆け寄ってきてくれ、驚いた様子で慌てていた。

 あはは……香耶ちゃんは、騙せないかなぁ……。

「時間が経てば、腫れは引くと思うんだけどね……。」

「いやいや、そういう問題じゃないってば! 菜花、ちょっと来て!」

「わっ……ちょ、ちょっと待ってっ……!」