「俺と……付き合ってください。」

 ……だからこそ、そう言われたのが嘘だと思って信じられなかった。

 友達同士で話題になるほど、先輩は人気者。

 かっこよくて誰にでも愛想がよくて、勉強も運動も何でもできて……。

 最初こそ信じられなくて疑っちゃったけど、先輩の言葉に嘘はないって思える事ができた。

 だって先輩は、こんな事で嘘を吐くような人じゃないから。

 一回私が断っても、先輩は強く懇願してきた。

 だから……疑うほうが失礼だって、思っちゃったんだ。

「は、はいっ……。」

「本当……!?」

 最終的には私が折れる形になり、そう返事をした。

 私の言葉に先輩は、これでもかと言うほど喜んでくれていた。

 恋なんて分からなかったけど、先輩とお付き合いをしていく内に分かった。

 ……私、庵先輩が好きだ。

 自覚するのに時間はそんなにかからなくて、先輩だけしか見えないようになっていった。

 人並みに嫉妬もするし、先輩を大事にしたいって思う。

 友達にこの事を相談すると、親身に話を聞いてくれてすっごく応援してくれた。