溺愛したい彼氏は別れても、溺愛をやめたくない。

 多分これ、ブロックされてる……よね。

 先輩は、私が思っている以上に私のことを嫌っている。

 ……絶対に、そうだ。

 でもそんな事で、先輩を忘れる事なんてできない。

「……っ、先輩っ……。」

 考えれば考えるほど、悲しくなってくる。

 さっき止まったはずの涙がまた溢れてきて、スマホ画面に零れ落ちる。

 私の初恋は、間違いなく先輩だ。

 何の取柄もない、特技もない私に気さくに関わってくれたのが先輩。

 きっかけは小さな事だったのに、先輩は私を好きになってくれた。

 今日までたくさん好きを伝えられて、これからもずっと続いていくと思っていた。

 ……そう思っていたのは、私だけだったみたい。

 今までの思い出が消える事も色褪せる事も、ない。

 先輩だけが好きなのに、先輩だけを愛しているのに……私は期待に応えられなかった。

 だけど……当たり前だよね。

 ただの凡人の私なんだから、先輩が飽きるのも当然。自然な事。

「いおり、せんぱいっ……。」

 気付けば名前を呼んでいて、届きもしない手を伸ばしていた。