溺愛したい彼氏は別れても、溺愛をやめたくない。

 私じゃ、先輩の彼女になれませんでしたか……?

 悲しさがこみ上げてきて、大粒の涙が地面に落ちる。

 先輩と別れたって、実感ができない……。

 でも先輩はずっと、これを望んでたんだよね……。

 そう考えると、私がここで駄々をこねてもダメな問題だ。

 私がただ単に、先輩に飽きられちゃっただけ。それ以上でもそれ以下でも、ない。

 こんな突然別れを切り出されるなんて思ってなかったから、どうすればいいか分からない。

 だから私はしばらく、裏庭で一人で泣いていた。



 ……返信、来なくなっちゃった。

 ひとしきり泣いた後、私は家に帰ってきて先輩にメールを送った。

《別れようって思った理由だけ、教えてください。》

 さっき先輩は、私が聞いても教えてくれなかった。

 どうして教えてくれないのか、そんなの分かり切っている。

 ……もう私と、関わりたくないんだ。

 私となんか話す事がないから、先輩は帰っちゃったんだ。

 今だって、メールを送っても返信が来ないどころか既読がつかない。