「ごめん、菜花が可愛すぎてまたしすぎた。大丈夫?」

「だ、だいじょうぶ、ですっ……!」

 何回か深呼吸を繰り返し、笑顔を浮かべる。

 大丈夫っていう言葉に、嘘はない。

 息は続かないけど……先輩にキスされるのは、嬉しいから。

「っていうか、約束早速破っちゃったね。言う前にキスしちゃったし。」

 た、確かに……。

 でも今回のは……私のほうが先に破ったから、おあいこって事にならないかな。

 だ、だけど……。

「や、約束やっぱり……な、なしにしましょう。急なものでも、大丈夫ですっ……!」

 恥ずかしいからダメっていう理由で決めたのに、私は天邪鬼だ。

 でももう、大丈夫。

 先輩になら何をされても、平気だからっ……!

「本当に? 無理とかしてない?」

「はいっ……! 本当です!」

 先輩はまだ疑っているのか、そう尋ねてくる。

 恥ずかしいのに変わりはないけど、もっと先輩に近づきたいもんっ……。

 だから急なキスでも、受け止めたいっ……。

 大きく返事をしてから、強く先輩に抱き着く。