ふわっと微笑みを浮かべた菜花に、こっそりと安堵の息を吐く。

 俺は、付き合うのは菜花が初めて。

 だから女子の好きなものが何なのかなんて知らないし、今回のデートプランも一生懸命考えた。

 こうして喜んでもらえて、こっちのほうが嬉しい。

 俺は植物に見惚れている菜花に、こう声をかける。

「菜花、こっち向いて。」

 優しく静かな声色で声をかけ、菜花を見つめる。

 こっちを向いた菜花を俺は、優しい力で抱き寄せた。

「せ、先輩っ……!?」

 驚いている菜花に、俺はあるものを渡した。

 首に回し、後ろで留める。

 すると菜花も気付いたように、自分の首元を見た。

「これ……。」

「本当に、今まで冷たい態度を取っててごめん。俺が言える立場じゃないけど……これからも俺と一緒にいてほしい。」

 菜花に渡したのは、四葉のクローバーがついているペンダント。

 ずっと寂しい思いをさせてごめんっていう気持ちを込めて渡したものだけど……ちょっと独占欲があるかもしれない。

 上目遣いで見つめてくる菜花を撫でて、俺も見つめ返す。