溺愛したい彼氏は別れても、溺愛をやめたくない。

 もうそろそろで夕焼けが見え始める時間帯になり、俺は菜花の手を引いた。

「……菜花、もうちょっとだけ付き合ってね。」

 俺はそう言って、優しい力で菜花を引く。

 菜花は驚いた表情を一瞬浮かべたけど、すぐに微笑んでついてきてくれた。

 今から行く場所は、今日俺が一番連れて行きたかった場所。

 ……菜花に、もっと喜んでもらえる場所。



 捕まえたタクシーに乗り、目的地に向かう。

 あんまり遠い所じゃないから、結構すぐ着いた。

 不思議そうな表情を浮かべている菜花を見ながらも、タクシーを降りて歩く。

 徒歩十分ほどでその目的地に着き、ゲートを潜った。

「ここって……。」

 そう呟いた菜花を連れてきた場所……それは、たくさんの花が咲き誇っているフラワーガーデン。

 菜花は植物や動物が好きで、見るのも世話をするのも好き。

 このフラワーガーデンは世界有数の有名地だから、菜花にぴったりだと思ったんだ。

「菜花は植物好きだから連れてきたんだ。どうかな?」

「ここ……凄く綺麗です。私、この場所好きかもしれません。何だか落ち着きます。」