溺愛したい彼氏は別れても、溺愛をやめたくない。

 ん?誰、だろう……。

 もう夜も更けてくるのに……そう思いながらも、スマホを確認する。

「あ……先輩、だ……。」

 不思議な気持ちを抱きながら見てみると、そこには《庵先輩》という文字とメールが来ていた。

《明日の放課後、裏庭に来てほしい。》

 それだけが書かれた短いものだったけど、久しぶりのメールに安心した。

 良かった……連絡、くれた……。

 ここ一週間は私からメールする事が多くて、先輩からの返事も短かった。

 だからこれだけでももらえて、すっごく嬉しい。

 私……嫌われてないかな。

 不安と心配が、ふっと脳裏をよぎる。

 それでも自分の頬を叩いて、自分を励ました。

 久しぶりに先輩に会えるっ……!

 上向きな気持ちを持つ事が大事だから、ポジティブに考えないと!

 何を言われるのか、何が起こるのか分からない。

 でも……何を言われても、ちゃんと受け止めよう。




「あれ菜花、用事あるの?」

「うん、ちょっとね。香耶ちゃん、また明日!」

 翌日の放課後になり、急いで教室を飛び出す。