「すっごく面白かったです!」

「それなら良かった。」

 映画が終わり、映画館を出てから私はそう言った。

 内容は私が大好きな動物ののほほんとしたアニメの劇場版で、終始ふわふわした気持ちに包まれていた。

 可愛くてふんわりしたストーリーに癒されながら、その余韻に浸る。

 先輩って、私のことどこまで分かってくれているんだろう……?

 さっきの映画のアニメだって、前に付き合っていた時に一回しか好きだって言ってなかったのに……。

 そんな昔の事を覚えてくれている先輩は、やっぱり尊敬する。

 私にはそうやって気の利く事ができないから……先輩が羨ましいっ。

 そろそろ夕日が差し込んできそうな時間帯になり、名残り惜しさが私の中で芽生える。

 もう、バイバイなのかな……。

 もう少しだけ、先輩と一緒にいたいなぁ……。

 心の中に寂しさが込みあがってきて、先輩を握っている手に力がこもる。

「……菜花、もうちょっとだけ付き合ってね。」

 視線を下に動かしたその瞬間、先輩からそう言われた。