溺愛したい彼氏は別れても、溺愛をやめたくない。

「そろそろ行ってくるね!」

「うん、行ってらっしゃい!」

「気を付けてね~!」

 香耶ちゃんとお母さんに見送られて、お家を出る。

 お気に入りの靴を履いて外に出ると、雲一つない快晴が見えた。

 今日は何だか、素敵な日になりそうっ……!

 まだ先輩には会っていないけど、それだけで良い日になるって確信がつけた。



 先輩との待ち合わせの駅前広場の時計塔に行く。

 ここの辺りで、良いのかな……?

 大きな時計塔がある事で有名なこの駅は、待ち合わせにとっても最適。

 まだ集合三十分前だから……やっぱりちょっと早かったよね。

 もう少し遅く出ても良かったかな……。

 そう思った矢先、ふわっと優しい風が頬を掠めた。

「もしかして待たせちゃった?」

「いえっ! 私もついさっき来たところなので大丈夫です!」

 風に反応して顔を上げると、そこには久しぶりに見る私服の庵先輩と視線が合った。

 先輩は白のシャツに薄いアウターを着ていて、水色より濃い色のジーンズをはいている。

 いつもかっこいいけど、私服って意識するだけで……余計にかっこよさが増してるっ。