溺愛したい彼氏は別れても、溺愛をやめたくない。

 ……でも先輩を疑うなんて、彼女失格だ。

 彼女なら、先輩のことを信じなくちゃ。

「ありがとう、香耶ちゃん。」

 香耶ちゃんの、心配してくれる気持ちを無下にしたくない。

 私もはっきりさせたいけど、先輩には先輩なりの事情がある。

 そう割り切って、その時は凌ぐ事ができた。




 今日も先輩、来てくれなかったな……。

 先輩と久しぶりに帰りたくて、ダメ元で二年の教室にも向かった。

 だけど先輩は一足先に帰ってしまったらしく、一緒に帰る事はできなかった。

 一週間会えなくなると、こんなにも寂しいんだ……。

 改めてそう思い、泣きたくなる気持ちを我慢する。

 大丈夫。信じていればきっと、大丈夫だから。

 先輩は浮気を嫌う人だし、そんな事しないって……分かってる。

 気を緩めたら不安に苛まれそうになるけど、これくらい全然平気。

 ……そろそろお風呂、入ろうかな。

 気持ちをスッキリさせる為に、ベッドから降りて準備をする。

 その時、ピロンッとスマホの通知が鳴った。