夕日の差している家路を、先輩と一緒に歩く。

 それだけでも幸せ過ぎて、私は好きを抑えるのに必死だった。

「ねぇ、菜花。」

「はい?」

 不意に先輩から声をかけられ、不思議に思いながら首を傾げる。

 何だろう?

 疑問を抱いたまま返事をすると、先輩は少しだけ照れながらこう口にした。

「来週の日曜日、三連休でしょ? だからさ……デート、しない?」

「で、デート……!」

 行きたいですっ!と、即答する勢いで反応する。

 先輩と、デート……!

 前に付き合っていた時は、デートは何回か行った事があったけど……今と昔じゃ、全然違う。

 今のほうが先輩のこともっと好きだから、私はすぐに頷いた。

「良かった。どこか行きたいところとかある?」

 行きたいところ、かぁ……。

 そう尋ねられ、少しだけ考え込む。

 私はあんまり外出しないほうだから、どこに何があるのかは全くもって分からない。

 無知って言ってもいいと思う。

 けど、そんな私でも行きたいと思うところはちゃんとある。