あの後、私は何度も急なキスはダメだと言った。

 そのおかげで、キスをする時はちゃんと言うっていう事になった。

 そ、それでもまだ私にはハードルが高い……。

 先輩になら何をされても怖くないけど、恥ずかしい気持ちは消えない。

 きっと、私がキスに慣れる日は来ないんだろうなぁ……。

 ため息を吐きそうになるけど、慌てて押し込む。

 今は放課後で、香耶ちゃんと帰る準備をしているところ。

「にしても菜花、本当に良かったね。先輩とより戻せて。」

「うん。香耶ちゃん、本当に本当にありがとう!」

「相変わらず菜花は大げさすぎ。これくらい何ともないし、あたしは菜花のこと何でも知ってるんだから!」

「ふふっ、そうだね。」

 幼い頃からずっと一緒にいる、大親友の香耶ちゃん。

 これからも親友でいられたら、良いな……。

 そんな事を考えていると、先輩の声が飛んできた。

「菜花、帰ろうか。」

「はいっ! 香耶ちゃん、また明日!」

「菜花、バイバイ!」

 香耶ちゃんに手を振って、先輩と一緒に学校を出た。