「きゅ、急なキスはダメですっ……!」

 心臓に悪いですっ……!

 そういう気持ちで人差し指同士でバツを作ったけど、きっと先輩には届いてない。

 だって……。

「ふふっ、菜花可愛すぎ。」

 ……こんなにも、意地悪な顔をしているんだもの。

「ねぇ、もっとこっちおいで。」

「せ、先輩、苦しいですよっ。」

 さっきよりも強い力で抱きしめられ、息苦しさを少しだけ感じる。

 でもそんな苦しささえ、愛おしく思うのは恋と愛の力なのかもしれない。

 ……なんて。

 ぼんやりと考えながら、心地よさから私は先輩に身を委ねた。