「先輩っ……。」

 私は嬉しくて、つい先輩に抱き着いてしまった。

 先輩は私よりも大きいから、私なんかじゃ抱きしめきれない。

 けど、抱き着いた途端先輩の温かい体温が伝わって、気を許してしまう。

「大好きですっ……。」

 自然と、口から出た言葉。

 こんなに恥ずかしげもなく言えたのは、初めてかもしれない。

 前に付き合っていた時は、まさか学校の有名人と付き合う事になるとは思ってなかったから……恥ずかしかった。

 でも今は、恥ずかしさなんてない。

 先輩といられる幸せと嬉しさで、いっぱいだ。

「俺のほうが好きに決まってる。」

 先輩も答えるように、私を抱きしめ返してくれた。

 やっぱり先輩は大きいから、私なんかすっぽりと収まってしまう。

 それが凄く……私にとっては心地いい。

「菜花、顔上げて?」

 ……っ。

 そう言われて、素直に視線を先輩へと向ける。

 その途端、唇に柔らかい感触が走った。

 キスをされたのだと理解するのに数秒かかり、気付いた後は私は真っ赤になった。