きっと、兄さんが助けてくれなかったら……俺はどうなっていたんだろう。

 そう考えるのは、少しだけ怖い。

 だから……本当に感謝してもしきれない。

「兄さん、もししんどくなったら遠慮なく俺に言って。俺も力になりたい。」

「やっぱりデレてんじゃ~ん!」

「デレてないって。」

 ちょっとうざいけど、兄さんはこれで良いや。

 兄さんのおかげでこれで後継ぎから解放されるし、菜花ともめいっぱい会える。

 菜花が俺のものに再びなってくれた事、会社の事を考えなくても良くなった事。

 ……自分の在る環境に、感謝しなければいけない事。

 そんな事実を思い返すだけで、幸せで笑みが零れてしまいそうだった。