溺愛したい彼氏は別れても、溺愛をやめたくない。

 ……もう、父さんに怯えるのはやめだ。

「俺はもう子供じゃないし、判断だってメリハリだって自分でつけれる。だから俺の恋愛事情には、口出ししないで。」

「庵……っ!」

 殴られるか……。

 そう思って守りの体制を作ろうと、父さんをじっと見据える。

 するとその時、こんな声が聞こえてきた。

「父さんさぁ、大人げないよ。」

「識……どうしてここに。」

 兄さん……?

 声のしたほうに視線を向けると、リビングの扉の近くにもたれかかっている兄さんが。

 兄さんは松葉杖をついていて、怪我は完治してないようだった。

 でも美幸さんの話だと、兄さんは退院できるって事だったから……何もおかしくは、ないのか。

 というか、どうしてここに……?

 退院するなんて連絡貰ってないし、突然の事すぎる。

 だけど……今の兄さんからはいつものほんわかのほほんとした雰囲気が感じられず、緊張感と圧倒的な雰囲気を醸し出している。

 そのまま兄さんは父さんを見据え、ゆっくり言葉を紡ぎ始めた。

「庵が言ってるように、もう庵は子供じゃないから分かるはずだよ。父さんは真面目過ぎる仕事人間だから、僕たちの成績だけが全てなんでしょ? 現に、俺が交際する事は許してるけど、庵の交際は許してないよね。」