溺愛したい彼氏は別れても、溺愛をやめたくない。

「せん、ぱっ……」

 ……まずい、やりすぎた。

 菜花の若干震えた声が耳に届き、我に返る。

 唇を離すと、瞳が潤んで肩を上下させている菜花が視界に入った。

「ごめん、しすぎた。」

「いえっ……だいじょうぶ、ですっ。」

 大丈夫じゃないはずなのに、満面の笑みでそう言ってくれる。

 俺は菜花の頭を撫でながら、もう一度菜花を抱きしめ直した。

 誰よりも、何よりも可愛い……俺の菜花。

 絶対に……離さないから。

 独占欲を菜花に見せるわけにもいかず、心の中だけに留めておく。

 菜花に引かれても、嫌だし。

 だけど、菜花を愛したい欲は今までのも相まって留まりそうにない。

 キスは強引にはしないけど、その分言葉で愛を伝えようと心に決めた。



「菜花、明日迎えに来るからね。」

「はいっ。先輩、おやすみなさい。」

「うん、菜花もおやすみ。」

 菜花を無事に家に送り届けて、俺も家路へとつく。

 無事に菜花とまた付き合う事ができて、つい気が緩みそうになる。

 けど、俺にはまだやらなきゃいけない事がある。