視線を合わせるように動かすと、菜花の綺麗な澄んでている瞳と合う。

 その瞳からはまだ涙が零れ落ちていて、俺は優しくそっと拭った。

 ……はぁ、ダメ。可愛すぎる。

 そうしながら、歯止めが利かないと分かった俺はこう口走った。

「今までは怖がらせないようにって思って、スキンシップは控えてたけど……もう我慢できない。菜花、キス……していい?」

 前付き合っていた時、俺はずっと我慢していた。

 菜花は付き合う概念さえ知らなかったから、怖がらせまいと理性を保つのに必死だった。

 けど、俺以外の男に触れられてる菜花を見ると理性なんかなくなる。

 それに……もう手加減できそうにない。

「へっ……!?」

 “キス”という単語に驚いたのか、菜花は大きく目を見開いた。

 やっぱりまだ、早いかな……。

 俺は菜花とまた付き合う事ができただけでも嬉しいし、菜花のペースに合わせるつもり。

 怖がらせたくないし、菜花に無理をさせたくない。

 だけど菜花の返事で、俺の理性はあっけなく揺らいだ。