溺愛したい彼氏は別れても、溺愛をやめたくない。

「うん、もういいんだ。今まで父さんの言いなりになってたのが馬鹿みたいだって、やっと気付いた。」

「えっ……わっ。」

 そう言いながら、私を引き寄せ自分の腕の中に閉じ込めた先輩。

 少しだけ強い力に一瞬戸惑っていながらも、先輩を見つめる。

 すると先輩は、私を抱きしめながら凛とした眼差しを向けた。

「やっぱり俺は、菜花なしじゃ生きていけない。菜花が他の男のものになるとか、他の男のところに良くとか……全部、耐えられない。絶対に、離したくない。」

「先輩……。」

 言葉を紡いだ先輩は、少しだけ顔を歪めていた。

 泣いてしまいそうな先輩の表情を見て、私の中に熱い気持ちが込みあがってくる。

 そんなの、私だって同じです。

「私も、です……。もう絶対に、先輩と離れ離れになりたくありませんっ……。」

 先輩と別れてから、ずっと辛かった。苦しかった。

 もう会えないって考えだしたらキリがなくて、自分自身が壊れてしまうんじゃないかと本気で思った。

 近くにいるのに触れられない……それが凄く、嫌だった。