溺愛したい彼氏は別れても、溺愛をやめたくない。

 スマホを先輩に返し、口を開いた。

「先輩、私勘違いしちゃって……ごめんなさい。」

「ううん、あの状況を見れば当たり前だよ。だから……菜花は何も悪くない。」

 先輩が謝る事じゃ、ない……。

 私と先輩は別れてるんだから、先輩が誰を好きになろうが私には関係ない。

 関係を持っちゃ、ダメだったのに……。

 私、やっぱり――先輩を諦めるなんて、できないよ。

「菜花……もう一つ言わせて。俺と菜花が別れる原因になった、出来事。」

 ……え?

「どういう、事ですか……?」

 私と先輩が別れた、原因……?

 もしかして何か、事情があったの……?

 全く見当がつかず、首を傾げてみせる。

 すると先輩は一回だけ深呼吸をしてから、詳しい事を教えてくれた。

「俺の父さんは会社を運営しているんだ。元々は兄さんが継ぐ予定だったけど、兄さん骨折して俺が継ぐ事になって。会社を継ぐための勉強とかをしていく内に、菜花に会える事が減って。だったらもう別れたほうが、菜花を悲しませずに済むんじゃないかって思ったんだ。」