そんな菜花の姿が可哀想で見てられない。

 俺だってできるなら、菜花の望むようにしてあげたいよ。

 でもさ……もうそんな馬鹿みたいな事、できるわけがない。

 菜花が俺と離れたいって言っても、無理だ。

 我慢が……できないんだ。

「せん、ぱいっ……彼女さん、いるんでしょう……っ?」

 ……やっぱり菜花も、あの写真見たよね。

 この前学校の裏掲示板に貼られていた、誤解を十分に招く写真。

 俺と美幸さんが写った写真を見て、誤解したんだ。

 もしかすると、それが原因で菜花は逃げようとしているのかもしれない。

 ……ううん、きっとその原因のほうが大きい。

 菜花は優しくてどこまでも人のことばかり考える子だから、余計に心配になっているんだろうな。

 だったら俺はきちんと……今までの事も話さなきゃならない。

「菜花、俺の話聞いて?」

「……き、聞く事なんて、ないです……っ。」

 優しい声でそう言い、菜花に同意を求める。

 だけどやっぱり、菜花は固い意志を持っているらしく聞く耳を持たない。