溺愛したい彼氏は別れても、溺愛をやめたくない。

 ここからなら俺の家のほうが近いし、話をしないと。

 今日は父さんも帰ってくるの遅いし、好都合だ。

 震えている菜花の手を取って、自分の家のほうへと歩いていく。

 ……もう、我慢の限界だ。

 さっき、男に抱きしめられていた菜花を見て、もう我慢するのは無理だと悟った。

 父さんの言いつけなんか、もうどうにでもなれ。

 俺は、菜花だけがいればいいから。



 鍵を使って、菜花を自分の家に連れて入る。

 菜花は緊張しているのか、震えながらもきょろきょろと周りを見ている。

 ……あー、本当に可愛い。

 でも、そんな事言えない。

 菜花を落ち着かせないといけないし、ちゃんと今までの事も話さなきゃならない。

 謝らなきゃいけない。

 自分の部屋に菜花を入れて、近くのソファに座らせる。

「ちょっと待ってて。」

 俺は菜花にそう言い、一旦一階に降りる。

 菜花のあの怯え具合……相当な事をされたと分かる。

 だから安心させる為に、菜花の大好きなホットココアを持って上がった。