溺愛したい彼氏は別れても、溺愛をやめたくない。

 静かで虚しい帰路を歩きながら、菜花のことを悶々と考え続ける。

 やっぱり……今更遅すぎる、よね。

 俺から振ったくせにって言われても、咎められても何も言えない。

 菜花は優しいから、そんな事言わないかもしれないけど。

 でも俺は、自分のした事を後悔せずにはいられない。

 どうしてこんな最悪な選択をしてしまったのか、今でも過去の自分を憎んでしまう。

 俺は、どうすれば良かった……?

 何をすれば、正解だった……?

「こわい、よ……ひろき、くん……」

「怖い? 大丈夫、菜花には怖い事なんかしないからね。」

 ……この声って、菜花と……男?

 近くから話し声が聞こえ、歩みを止める。

 どうやら声はすぐそこにある路地から聞こえてきているようで、俺にとって最悪な言葉が聞こえてきた。

「大好きだよ、菜花。」

 ……は?

 誰に許可取って、菜花にそう言ってんの……?

「お前、菜花に何やってんの?」

 気付けば俺は路地に飛び込んでいて、菜花を自分のほうに引き寄せていた。