どうするか……牽制はしていると言えど、どんな輩が菜花に近づくかも分からない。

　しかも厄介な事に、この学校には菜花を好きな奴が多すぎる。

　輩もそうだが……女子も菜花のファンが多い。

　特に菜花の親友だという八千代香耶が変な事を吹き込んでいないか、心配だ。

　でも、会いに行く事は許されない。

　自分から振ったのに会いに行くなんて、図々しすぎるから。

　はぁ……菜花に会いたい。

　菜花で充電ができない頭をぼんやりと働かせながら、特に意味もなく菜花とのトーク画面を見ていた。



　兄さんのお見舞いに行く日になって、適当な和菓子を持って駅へと向かう。

　ホーム内に入って、改札を通る。

　その時、背後から声をかけられた。

「お、庵君じゃないか。また会ったね～。」

「こんにちは、美幸さん。兄さんのお見舞いですか？」

「そう！でも識ね、もうそろそろ退院できそうなんだって。本当回復力凄いよね～。」

「そうですね。ドジする割には回復早いし。」

「結構言うね、庵君。」

　他愛もない話をする仲で、俺が愚痴を吐いている相手は美幸(みゆき)さん。