溺愛したい彼氏は別れても、溺愛をやめたくない。

 毎回の事だけどそれが嬉しくて、つい顔が綻んだ。

「香耶ちゃん、また明日!」

「うんっ、気を付けて帰ってね!」

 香耶ちゃんとに別れ際に手を振って、先輩の元へと駆け寄る。

 私が来た事を確認してから、先輩はいつものように微笑んだ。

「じゃ、帰ろうか。」

 先輩のその声に大きく頷いて、私も笑顔を返した。

 ふふっ、やっぱり私は幸せだっ……。

 毎日思う事を、頭の中に思い浮かべながら。



 私と先輩の家は同じような方向にあって、私のほうが学校に近い。

 先輩は以前は車通学だったらしいけど、私に合わせて徒歩にした。

 そこまでしなくてもと思って、断った事もあるけど……何しろ先輩は過保護らしい。

 私を無事に送り届けたいと何回も言われて、その熱気に押されたんだ。

 今でも少しは罪悪感があるけど、先輩と長く一緒にいられるのなら……いいかなっ。

 先輩が嫌じゃなければ、ずっとずっと送ってもらいたい。

 ……なんて、図々しいお願いかな。

「先輩、送ってくださってありがとうございます。」