溺愛したい彼氏は別れても、溺愛をやめたくない。

 佑樹君と言葉を交わす事なく、教室へと足を運ぶ。

 隣には平然と佑樹君がいるけど、少しだけ居心地が悪いと思うのは気持ちの揺れかな……。

 先輩の隣はあんなにも心地いいのに……って、ダメだ。どうしても先輩のこと考えちゃう。

 考えないように、忘れたくて佑樹君と仮交際を決めたのに……これじゃ、全然ダメ。

 教室内に入ると、やっぱりというか視線を集めてしまった。

 男の子の中には佑樹君に問い詰めている人もいて、私は邪魔にならないように自分の席に向かった。

 けどその瞬間、女の子たちに私も問い詰められてしまった。

「藤乃さん! 市ヶ谷君と付き合ってるってほんとなの!?」

「詳しく説明してほしい!」

「ていうかさ、市ヶ谷とは付き合わないほうが良いって! 絶対あいつ束縛激しいよ!」

 え……っと……。

 佑樹君アンチの人もいた気がするけど……き、気にしないほうが良いよね!

 大勢に問い詰められて、乾いた笑みしか浮かべる事ができない。

「はいはーい! 菜花が困ってるから散ってね~! もうそろそろホームルームも始まるしさ。」