私……こんなにも弱かったんだ。

 自分の弱さを今になって痛感して、そんな自分を情けなく思う。

 今朝の……先輩の写真が頭に焼き付いて離れない。

 今までは先輩を想って泣いていたけど、もう卒業しなきゃ。

 先輩のことを忘れて、先輩を諦めないと。

 でも、どうすれば先輩を忘れられるの……?

 誰かに頼ろうにも、どう頼ればいいかが分からないから悩んでしまう。

「藤乃さん。」

 ……頭をフル回転させようと、スマホを閉じるのと同時だった。

 背後から声をかけられ、ばっと振り返る。

「市ヶ谷、君……。」

 そこには、少しだけ不安そうな表情を浮かべた市ヶ谷君がいた。

 どうして、市ヶ谷君がここにいるのかは分からない。

 それでも今は……市ヶ谷君にしか頼めないって、一瞬にして思った。

「あの……市ヶ谷君、少し悩み事……聞いてくれないかな?」