溺愛したい彼氏は別れても、溺愛をやめたくない。

 あれ……私、変な事言った?

 どういう事って……どういう事も何も、そのままの意味だ。

「私、先輩のことずっと好きでしたけど……もう諦めるんです。別れて気付いたんですけど、庵先輩にはもっと良い人だいるって分かったんです。だから……きっともう、識さんと関わる事もなくなると思います。」

《え、ちょ……! なのちゃん、ちょっと待って……整理させて……。》

 整理させて……って、そこまで変な事は言ってないよね?

 一人で自己完結し、識さんに向かってこう言う。

「識さん、今までありがとうございました。それと……先輩に伝えておいてください。先輩のこと頑張って忘れるので、思う存分恋を楽しんでくださいって。」

《待ってよ、なのちゃん……!》

「失礼します。」

 強引に話を終わらせ、一方的に通話を切る。

 その瞬間、一気に脱力感が襲ってきた。

 はぁ……なんだか無性に緊張したなぁ……。

 識さんには申し訳ない事しちゃったけど、これでいい。

 これ以上先輩の話をすると、識さんに甘えそうだったし先輩に会いたくなるから……逃げた。