溺愛したい彼氏は別れても、溺愛をやめたくない。

 今、先輩と会うのは凄く気まずい。

 会ってしまったら……泣いてしまう未来しか見えないから。

 泣いて縋って……先輩の邪魔になるような事をしかねないから。

 諦めるって決心したから、そんな事にはなりたくない。

 私は一度だけ、何となく後ろを振り返ってから学校を出た。



 家路の途中には、小さな公園がある。

 そこはこの前市ヶ谷君に連れてこられた公園で、ベンチと小さな遊具が数個しかない。

 ……少しくらいなら、良いかな。

 帰る時間がいつもよりも早かったから、この公園で時間を潰そうと考える。

 ベンチにゆっくりと座って、ほっと息を吐いた。

 ふぅ……何だかここにいると、落ち着ける。

 この公園は幼い頃からよく遊んでいた公園で、香耶ちゃんとよくいろんな事をして遊んでいた。

 砂場でお城を作ったり、ブランコで笑いあいながら乗ったり、近所の子を誘って鬼ごっこをしたり……。

 今思えば楽しい思い出だらけで、クスッと笑みが零れた。

 ふふっ……あの頃は、何も余計な事を考えずに楽しく生きてたなぁ。