溺愛したい彼氏は別れても、溺愛をやめたくない。

 香耶ちゃんはまだ心配そうに、私のほうをじっと見ている。

 ふふっ……こうやって心配してくれる人がいるのは、嬉しいな。

『俺には菜花しかいらない。菜花がいてくれれば……それでいい。』

 ……もう、そう言ってはくれないのかな。

 前に言われた事を不意に思い出してしまい、払拭するように首を左右に振る。

 ううん、諦めるって決めたんだから……気にしちゃダメ。

 先輩もきっとそのほうが良いだろうし、先輩の重荷にはなりたくない。

 半ば強引に自分を納得させて、その日を過ごした。

 ……その日の授業は、これまでよりも長く感じられた。



「菜花、気を付けて帰ってね。また明日ね。」

「うん、香耶ちゃんまた明日!」

 授業が全て終わって、放課後になる。

 クラスメイトがのんびりと帰る準備をしている中、私は手早く準備を終わらせて教室を後にした。

 こんなに急いでしなくても良かったけど、少し心配な事があったんだ。

 ……先輩とばったり、会いたくない。

 先輩は比較的にみんなより帰るのが遅いから、早く出れば会う事はないはず。