溺愛したい彼氏は別れても、溺愛をやめたくない。

 お父さんも休みの日は私とたくさん話してくれるし、家族三人でお出かけだってする。

 だから……私はお母さんたちに、休んでほしいよ。

 前にも何度か言った事があったけど、変にはぐらかされてしまった。

『菜花が元気でいてくれたらそれでいいのよ。お母さんたちは菜花のことが大切だから。』

 私が元気でも、お母さんたちには何のメリットもない。

 でもそう言ってくれるなら……私はできるだけ、元気でいよう。

 昨日まで風邪をひいてしまっていたから、説得力は皆無だと思う。

 ……けれど、お母さんたちを不安にさせないように笑顔をたくさん浮かべていよう。

 改めて、そう心に誓った。



 学校に着くと、何やら教室内がざわざわとしていた。

 いつもよりもみんなが落ち着いていないようで、どこか興奮しているようにも見える。

 不思議に思って、私は香耶ちゃんに尋ねてみる事にした。

「香耶ちゃん、おはよう。ねぇ、この状況って……」

「……菜花は知らないほうが良いと思うよ。」

 ……え?

 香耶ちゃんは私に視線を流したと思うと、スマホと私を交互に見て不機嫌そうな表情を浮かべた。