溺愛したい彼氏は別れても、溺愛をやめたくない。

 正直な気持ちを言うと……ちゃんと知りたい。

 ……でも、諦めなきゃいけないって分かった。

「私、もうね……先輩のこと諦めようと、思ってて……っ。」

 こんな事、口にするのも辛い。

 ずっと先輩の隣で笑える事ができたら、それで良かった。

 だけど……私があの女の人に勝てるわけない。

 チラッと見ただけでも印象に残る、大人っぽい美人さん。

 私なんかじゃ、勝てるわけない……っ。

「先輩だって、私にもう気持ちはないし……だったら、諦めようって……っ。」

「菜花が諦める必要なんてないって! だって菜花は篠碕先輩をこーんなにも想って――」

「そう、だけど……先輩を困らせるだけだもんっ……。元カノなのにこんなに執着してるんだから……。」

 香耶ちゃんの慰めを遮り、大きな声を上げる。

 私なんかが想ってても、先輩の恋路を邪魔しそうだ。

 だったら……先輩を諦めたほうが、絶対良い……っ。

 先輩の幸せは、私の幸せだから……。

「菜花……。」

 香耶ちゃんは何かを言おうとしたけど、すぐに口を閉じた。