溺愛したい彼氏は別れても、溺愛をやめたくない。

「じゅ、準備……。」

 何の準備かは、聞かないでおこう……。

 でも香耶ちゃんの言う通り、私は香耶ちゃんを欺けたことがない。

 だからきっと……黙ってるだけ無駄なんだろうな。

 香耶ちゃんは悩み事をちゃんと聞いてくれるけど、解決方法が最近は物騒。

 うーん……だけど、話したほうが楽になるかな……。

「えっとね、昨日――」



 一通り香耶ちゃんに昨日あった事を話し、一息吐く。

 話している最中泣きたくなったけど、必死に我慢して最後まで言い切った。

 買い物に行ったら先輩の隣に綺麗な女の人がいた事、市ヶ谷君に真剣に告白された事……そして、雨に打たれて風邪をひいてしまった事。

 風邪は我ながら馬鹿なひき方したなぁ……なんて、思ってしまう。

 ベッドに腰掛け香耶ちゃんのほうに視線を向けると、私は思わずビクッと驚いてしまった。

 か、香耶、ちゃん……?

「あーそういう事。ふふっ……はぁ、篠碕先輩ってどこまで菜花を傷つければ済むのかなぁ。」

 いつもより一オクターブ低い声でそう言い、殺意のこもった目で明後日の方向を向いている香耶ちゃん。