溺愛したい彼氏は別れても、溺愛をやめたくない。

 寝る前にたくさん泣いたからか、涙は枯れている。

 それでも悲しみが消える事なんてなく、布団の中で猫みたいに体を丸める。

 自分の体温だけが伝わってきて、溜まっていたものを吐き出すように息を零した。

 熱を出しているから頭がぼーっとして、またすぐ眠くなる。

 お母さんがご飯持ってきてくれるけど、寝そう……。

 自分のおでこには、あんまり冷たくない冷却シートが貼ってある。

 多分、お母さんが貼ってくれたんだと思う。

 何から何までお母さんには迷惑をかけているなぁ……ごめんね、お母さん。

 こんな手がかかる娘で……本当に、ありがとう。

 一人きりの部屋で私は、そっと目を瞑って感謝を口の中で呟いた。



「まさか菜花が熱出すなんて……理由は?」

「え、っと……雨の中にしばらくいて帰ってからもシャワーを浴びなかったから、だと思います……。」

「何で敬語なの。……って、菜花そんな馬鹿じゃないでしょ? また何かあったの?」

 次の日は熱を完璧に出してしまったから、大人しく家で休んでいた。