溺愛したい彼氏は別れても、溺愛をやめたくない。

 焦っているのかおろおろしているお母さんが視界いっぱいに広がって、ゆっくりと体を起こす。

 ……っ、痛っ。

 その時、頭に物凄い痛みが走った。

 鈍器で殴られたような、言葉に表しづらい痛みが走って顔を歪める。

 私を心配する眼差しで見つめていたお母さんは、片手に体温計を持っていた。

「菜花、体しんどくない? 頭痛薬飲む? あ、先にご飯食べたほうが良いわよね……!」

 あたふたと慌てるお母さんを見ながら、やっと自分の体の異変に気付いた。

 体がいつもより熱い気がするし、気持ち悪さも多少ある。

 めまいも頭痛もあって、俗に言う体調不良を起こしていた。

「お母さん、今何時……?」

 そう言えば私、泣きながら帰ってきて速攻で寝ちゃったんだっけ……。

 ふわふわしている頭を何とか働かせて、小さな声で尋ねる。

「ええっとね、今は……夜の八時よ。」

 八時……結構寝ちゃったんだ……。

 確か帰って来たのが五時くらいだったから、ざっと四時間は寝ていた事になる。

 お昼寝をしようと思って寝たのに、熟睡しちゃった……。