溺愛したい彼氏は別れても、溺愛をやめたくない。

「え? そんなわけないよ、菜花。」

「そうだよ藤乃さん。八千代と仲良いなんて、こっちから願い下げだよ。」

 あ、あれ……何だか、バチバチしちゃってる……?

 私から見てみれば二人とも仲良く見えたんだけど、二人はそうじゃないのかな?

 それはちょっと、悲しいかも……。

 私、二人には仲良くしてほしいのになぁ……。

「市ヶ谷、結構面倒なんだね。菜花には悪い影響しか与えないから、さっさとどっか行ってほしいんだけど。」

「だから八千代怖いって。いくら藤乃さんが大事だからって、僕に当たるのはおかしいんじゃないのかな?」

「怖いって思ってるのなら早く自分の席に戻ってくれない? あたしは今から菜花と積もる話をするんだから。」

「積もる話って……ま、分かったよ。」

 私が淡い願いを持っている傍ら、二人はまた何やら言い合っている。

 その光景を見て私は、確かに……と納得してしまった。

 さっきまでは仲良いとしか見えなかったけど、今は仲良いというよりかは……喧嘩しちゃいそうなくらいに火花を散らせている。