溺愛したい彼氏は別れても、溺愛をやめたくない。

 だけど先輩はそれさえも受け入れてくれて、私のことをしっかり分かってくれた。

 だから……先輩のことが好きになっていた。

「先輩、私……先輩のこと大好きですっ!」

「……っ、本当に?」

「はいっ……!」

 私がそう言ったら、先輩は大きく目を見開かせて驚いていた。

 今でもその光景は覚えていて、微笑ましくて笑ってしまった記憶もある。

 先輩も最初は全く信じていない、むしろ私が気を遣っていると思ったらしかった。

 でも先輩に本当だって思ってほしくて何度も“好き”を伝えると、先輩は嬉しそうにはにかみながら私を強く抱きしめてくれた。

 離れていかないように、離さないと言われているような抱擁に、びっくりしてしまった。

 忘れる事なんてない、先輩の温もりが欲しくてたまらない。

 ……先輩、やっぱり私じゃ彼女になれませんでしたか?



 ――ピピピピッ

 ……あれ、私寝ちゃってたんだ。

 無機質な機械音が鳴り響いて、反射的に目を開ける。

「菜花、大丈夫っ……!?」

 ゆっくりと開けた視界に第一番に入ったのは、酷く心配した様子のお母さんだった。