溺愛したい彼氏は別れても、溺愛をやめたくない。

 市ヶ谷君に羨望の眼差しを向けながらも、私はレジでお会計を済ませた。

 買ったものを自分のバッグに入れて、市ヶ谷君に手を振る。

「じゃあね、市ヶ谷く……」

 ……っ!

 市ヶ谷君と合流してバイバイしようとした……時だった。

「あれって……篠碕先輩、と……?」

 私の視線の先には、制服姿のままの庵先輩と……綺麗な女の人がいた。

 ……まさか。

 仲が良さそうに話していて、これまで以上に心臓が苦しくなる。

 ぎゅっと握り潰されるんじゃないかというほどの悲しみに襲われる。

 せん、ぱい……。

『俺は菜花以外の女性に興味ない。菜花さえいてくれれば、それだけで幸せだから。』

 先輩に以前言われた言葉が脳裏に浮かび、自然と涙が零れる。

 私だけしか、興味ないって……言って、くれたのに……っ。

 でもそれはもう何か月も前の話。別れたのなら、気にする事でもない。

 ……なのに、悲しくて苦しくてどうしようもなかった。

 もしかして先輩、あの女の人と付き合ってたりするのかな……。