溺愛したい彼氏は別れても、溺愛をやめたくない。

 でも、香耶ちゃんがここまで言わないって事は……聞かないほうが良いのかな?

「むぅ……。」

「膨れっ面しても、可愛いだけだからダメ!」

 か、可愛いって……香耶ちゃんまで。

 私が可愛いなんて、絶対にありえないのに……。

「市ヶ谷君……。」

「あー……八千代に締められたくないから、藤乃さんごめんね。」

 い、市ヶ谷君までっ……!

 市ヶ谷君なら少しでも教えてくれると思ってたのに、断られちゃった……。

 二人がここまで頑なに教えてくれない理由は思い浮かばないけど、きっと突っ込んじゃダメなんだよね。

 友達たるもの、そこの辺りのマナーもしっかり守らなきゃ。

「そっか……。」

 教えてくれないのはちょっぴり悲しいけど、仕方ないよね。

 きっと言いたくない事なんだろうから、私がこれ以上突っ込んで良い事じゃない気がする。

 いずれ、教えてもらえたらいいなぁ……。

 そんな日が来るのかどうかは今の私には想像できないけど、そう思うようにして一人こっそり微笑んでいた。

「二人とも、仲良しさんだねっ。」