お互いを知ろうと,歩み寄ろうとし始めた2年生1発目がこれだなんて。

そんな純の気持ちが,恋にも伝わっている。

ー大丈夫かな。

このタイミングで引き離されるなんて思っていなかったのは,恋も同じ。

浅く息を地面に落とした恋は

(こうゆうのは得意じゃないんだけど)



「1週間なんて直ぐでしょ。そんときの夕飯,何がいいか考えといて」



照れくさそうに,純の背中をポンと押した。
瞼を少し上に広げた純が,恋をぽかんと見上げる。

デステニーの研究云々の裏話はしっかり聞き流していた恋。

それでも課題の概要にはしっかりと耳をそばたてていた。


"1週間"新しいパートナーと名前で呼び合うこと。

そして,純とは接触も連絡も出来なくなること。

1週間が長いなんて感覚を久しぶりに覚えて,恋は戸惑う。

そんな自分を純の瞳の中にも見つけて,恋は純を唐突に抱き締めたくなった。

その一瞬の葛藤と戸惑いの中で,純は恋が幻影かと思うほど柔らかく目の前で微笑む。



「恋くん,恋くん」



そして内緒話をするように,純はふふふと恋に小さくこぼした。

可愛いと言う感情を,恋ははっきりと理解する。

誘われて近寄れば,純はとても楽しそうに



「私,炊き込みご飯が食べたいです」



と謎のチョイスで炊き込みご飯をねだった。



「ん,いいよ」



恋は横に片寄らせていた体を起こす。

そして,切り替えが早いなと思いながら,恋は嬉しそうに笑う純を見つめた。