その8



○年後、マユミは吉原コージと入籍した。


「…ああ、アナタ…、もっと強く抱いてよ!…マコトはもっと乱暴にしてくれたわ…」


「コノヤロー!まだあんなクソ男が頭から消えないのか!…よし、お前の心とカラダにオレを丸ごと塗り込んでやる!この3日風呂入ってないから、くせーぞ、この足は。それー!」


「アナタ…!いい加減、あの男のこと、私からおん出してよ!」


「おお、やってやる!お前はオレだけのものだ!お前は死ぬまでど腐れたこの中年男に汚され続けるんだ!それでいいんだろ、マユミ⁉」


「ええ、いいわ!私もど腐れよ!早く、マコトを完全に消し去ってよー‼」


マユミは、ベッドの上で重なり合ってる吉原の分厚い体をあらん限り、両の腕で締め付けるように抱き寄せ、嗚咽した。
それを受けて、吉原も小柄なマユミを呑み込まんばかりに抱き尽くしながら、その手の中にある愛する女に言い放つ。


「あのガキめ!お前をこうやって毎夜、死ぬほど抱いても、オレから出ていかねー!なら、オレは、お前を殺してでもヤツを消し去る!」


「そうして!あなたとはサイゴまでよ…‼」


壮絶なコトバの往復による二人の愛はなぜか、マコトをダシネタに使って盛り上がることが多かった。
で…、その色事を終えた後…、ある夜…。


***


「…久々にズンと見えた。…明日は雄太、学校を遅らせてくれ」


「それ…、確信あるのね?」


「ああ…。間違いない。明日の朝だ。絶対、いつも通りの登校はダメだ」


「わかったわ…」



***



そして…、翌朝はきた。


「雄ちゃん…。今日、急に眼医者さんの予約がとれたから…。今学校には電話して、遅れるって伝えたわ。だから、集団登校の時間はいいから」


「そうなの…?」


雄太は、何なのかなーって顔はしていた…。