その7



”なんて卑猥なのよ…。あの女、女子高校生よ!なのに…、弱みに付け込まれてエッチなことを中年オヤジに強いられてるのに…❗なんなの、これ…⁉️しかも、見物人の私の前でも堂々と、その痴態を晒してって…。信じられない…。でも、なぜか美しい…”


”…この人、日本人なら誰でも知ってる家電メーカーの御娘子よ!なのに…、まるでAV女優顔負けじゃない❗私みたいな同性に見られてても、かえって燃えあがっちゃってるわ…”


”あれ以後”…、マユミは吉原の、自らもターゲットにされた自称・ライフワークたる”鬼畜現場”に、幾度も”同席及び目撃”を繰り返し、彼女のマトモな感性は破壊の途を辿る。
いや‥、反面、覚醒された…、仮面を剥ぎ取られと言えたかもしれない…。


***


「…もう、クラクラだわ、吉原さん…。目をつむる度、アナタの鬼畜な姿が私の瞼を占領するのよ。責任とって!」


マユミは夜の川原で、カレの右肘にしがみつき、つたなくも熱っつい心持ちを地味に絶叫した。
そんなジミ乙女のキュンな、”さー、どうよ⁉”の、言わばマユミというオンナの宣戦布告…、その意気という名の矢は目の前のオトコに確かに届いていたが…。


「オレの取れる責任なら何でもいとわない。だが、今一度胸に刻んでくれ。オレはどうしようもないドクサレだ。その気になれば、人のためになれる力を持ってるんだよ。…それを封印して、テメーの俗だけに生きてる。これは、一生だ。たぶん死んだら、神様にどでかいゲンコツを喰らうだろう。そこにできたコブは超悪性の腫瘍だ。要は…、オレは楽に死ねない…。いいのかよ、そのオレとで…」


「いいの!いいの、それで…」


彼女はもうはっきり気づいていた。


見てくれのきれいごとなどには肩ひじを張らない生き方···、カッコなんか悪くても、等身大の安らぎを心から欲している自分の気持ちに…。


それを、吉原コウジは与えてくれる男性だということも…。


マユミが吉原と最果てとも言える奇異極まる遭遇を経て2年数カ月後…。
二人はホンバンの関係に至った…。


それはとてもシンプルなベッドインだった。
とは言え、決してそんじょそこらの”ソレ”ではなかったが…。