ピピッ……

37度8分



ーー今は自宅の部屋のベッドの中。

目覚めてから身体がだるくてキッチンに下りた際に母親に熱っぽいと伝えたら、母親は一度部屋に戻った私の元へ体温計を持って来てくれた。

熱を計り終えて体温計を見たら、やっぱり熱があった。



最近ストレスを抱えたせいか、精神的にも身体的にも疲れてしまったのかもしれない。
体温計に表示されている数字以上に身体が火照った感じがして、節々にチクッとした痛みを感じる。






「今日は学校を休んでゆっくり身体を休めないとね。先生には電話しておくから」



母はそう言って、朝食後に常備薬を用意してくれた。

薬を飲んでから二階の部屋に戻ろうと思って階段を上るが、熱があるせいか足取りが重い。



家でのんびり寝込んでいる暇じゃないのに。
昨日、相談に乗ってくれた友達に勇気をもらったから、今日学校に行ったら谷崎くんに先日の件を謝ろうと思っていたのに。

1分1秒でも早く謝りたいのに…。



お母さんに言われた通り、大人しく布団に入って枕に頭を埋めても頭痛が治らない。


谷崎くん……。
まだ怒ってるかな。
あの日の事を謝ったら許してくれるかな?



愛里紗は熱で体力が奪われていた挙句に薬が効いてきたせいか、そのまま意識を失うように昼まで眠った。






その間、少しだけ夢を見た。

神社で谷崎くんが鯉に餌をやりながら、私に穏やかな眼差しで微笑んでくれる幸せな夢を…。