ホームルームが終わっていつも通り咲と一緒に帰ろうと思い、机の中の荷物を鞄へと移してしている咲に声をかけた。



「咲、一緒に帰ろっ!」



すると、咲は少し表情を曇らせながら言った。



「ごめん……。今日はちょっと用があって」

「あっ、ううん。用事があるなら仕方ないよね。じゃー、先に帰るね。……バイバイ」


「バイバイ……」



咲の表情は何故か暗い。
昨晩、今朝、そして今。

再三に渡る異変に引っかかるものを感じたけど、必要以上に問い詰めなかった。






ーーだけど、翌日。



「昨日、彼氏が出来たよ」



咲は登校直後に嬉しそうな表情で報告してきた。
その様子は昨日とはうって変わり晴々しい。

そんな姿を見た途端、昨日は意中の彼に想いを告げる為に心の準備をしていたのかなと思った。