愛里紗は涙をゴシゴシと手の甲で涙を拭い、顔を上げた。



「…谷崎くんに想いを伝えたかった」



掛け時計の秒針が聞こえるほどボソッと小さく呟く愛里紗に対し、ノグは呆れ半分でため息をつく。



「谷崎自身があんたの言動で混乱してるのに、そのタイミングで告白なんて間違ってるよ」

「そう…だね……。ミクが先に告白したから焦っちゃって」



そう……。
ノグの言う通り。
ミクを悪く言いたくないという思いと、遠回しな言動が誤解を生む要因に。



友達に気付かせてもらって知った、間違いだらけの自分。
反省点は山ほどある。
それを克服するのは自分自身。

人の言葉に左右されないように、信念を持たなければならないと思った。



「私…、谷崎くんに謝りたい。早く仲直りしたい」

「うん、そうしな」

「谷崎くんも愛里紗と同じように仲直りしたいと思ってるよ」



ノグの家に来た時は、私が余計な事を言ったから谷崎くんとはもう縁が切れちゃったかな…と思っていたけど……。
ノグとミキに相談したら、気持ちが少し楽になった。



過ぎた時間は戻って来ない。
だけど、間違いを正していく事は出来る。

これから時間をかけながら、二人の間に出来てしまった溝を少しずつ埋めていかないとね。