すっかり意気消沈した愛里紗は、担任に自分の班を報告する為にクジを引き終えた人達の列に並んだ。


ーーが、その時。

背後から誰かがヒソヒソと小声で話している会話が耳に入った。



「良かったぁ。同じ班だったよ」

「やったじゃん!」


「………うん。私、修学旅行で頑張って告白しようかな」



教室内がガヤガヤと騒がしかったので、背後を振り返ってみても誰が告白話をしていたのかは分からない。


修学旅行と言えば、小学校生活の六年間の行事の中でも一大イベントだもんね。

凄いなぁ。
私なんて告白する勇気すらない。


もし、告白が失敗して谷崎くんにフラれてしまったらと思うと…。
同じクラスだから、次に教室で会った時に気まずくてどう接したらいいのかわかんないよ。

それに、神社にも遊びに行けなくなっちゃうし…。



でも、好きな人と偶然同じ班になった子は、一体誰に告るつもりだろう。
勇気があるなぁ…。
羨ましい。




班が全て決定した後、クラスメイトは班ごとに集まり、配布された資料を元に行き先やどの順番で回るかなど詳細を話し合った。


愛里紗は名残惜しさのあまり、翔の居る二班の方をヒョイと覗き込むように、背筋を伸ばして頭を一つ分飛び出しながら探してみると…。

翔もちょうど愛里紗の班を見ていて、お互いの目がバッチリ合った。



ドキーーン…



恋の衝撃が胸を突く。



翔と目が合った瞬間、愛里紗は赤面したまま目線を下げた。



まさか、まさか…。
谷崎くんもこっちを向いていたなんて。

偶然?
それとも、私を見ていたとか……。



愛里紗は再び人の間から、翔がまだ自分の方を見ているかどうか確認すると…。
翔は既に班の話し合いに参加していた。



ホッ…。
よかった。

さっき目があったのはやっぱり偶然だよね。